- たける
- I
たける(動カ下一)〔近世語〕(垢(アカ)などを)身につける。II
「諸の垢を~・けな/滑稽本・浮世風呂(大意)」
たける(連語)〔完了の助動詞「たり」に過去の「ける」の付いた「たりける」の音便の形「たっける」の促音無表記。 中世後期の語〕過去や完了の意味を詠嘆的に言い表す。 たのだなあ。III「通鑑はあまり繁多なほどに節要してせうとばし思ひ~けるが/史記抄2」
たける【哮る】(動物が)太い声でほえる。IV「虎が~・る」「大地吼え, 大海~・り/自然と人生(蘆花)」
たける【梟帥・建】上代, 勇猛な異種族の長の称。V「出雲~が佩(ハ)ける太刀/古事記(中)」
たける【炊ける】〔「たく」の自動詞形〕炊きあがる。VI「御飯がうまく~・けた」
たける【猛る】(1)荒々しく行動する。 激しい勢いで動く。「~・る犬を必死にとどめる」
(2)感情が高ぶる。 興奮する。「~・る心をしずめる」
(3)色情をもよおして興奮する。VII「浦島の子~・りて婦(メ)にす/日本書紀(雄略訓)」
たける【長ける・闌ける】〔形容詞「高し」と同源〕(1)日が高くのぼる。「朝日が既に~・けて/田舎教師(花袋)」
(2)盛りをすぎる。 末になる。 季節が深まる。「春~・けて」「年~・けて又越ゆべしと思ひきや/新古今(羇旅)」
(3)十分に備わっている。 すぐれている。「才~・ける」「臈(ロウ)~・ける」「世故(セコ)に~・ける」
闌けたる位(クライ)世阿弥の用語。 能で名人・上手の域をさらに超えた至高の芸境。 闌位(ランイ)。「~に上りて後は, 幽玄・恋慕・哀傷, 何れも自在なれば安全なるべし/申楽談儀」
Japanese explanatory dictionaries. 2013.